大崎耕土支援プロジェクト「鳴瀬川流域調査③上流域」(令和3年8月5日)
7月14日の中流域調査に続き,上流域調査を行いました。
3回目(最終回)の今回は,石川先生,宮本先生,養護教諭の内海先生がサポート車両として協力していただき調査を行いました。前回スタートした大崎市三本木の館山公園から,上流に向かって自転車でスタートしました。この夏は猛暑で,当日も高温が予想されたため,自転車での走行距離は10km程度としました。
スタートしてしばらくは中流域と同じような田園風景が広がります。宮城県は大豆生産量が全国2位で,この地域でも転作作物として水田に大豆が栽培されています。また,加美町に入ると,水田や,河川敷で長ネギの栽培が多く見られました。加美町では河川敷を運動公園や貸し出しと思われる家庭菜園として利用されていました。そんな風景を見ながら1時間強走ると,自転車のゴールである上川原頭首工(堰)に到着しました。上川原頭首工は鳴瀬川本流と加美町宮崎からくる支流の田川の合流地点の少し下にある堰です。この頭首工は近隣の農業用水の取水の他に,カヌー競技場が整備され大会が開かれています。非常に景色が良く,加美富士と呼ばれるやくらい山撮影にぴったりのスポットです。ここで小休憩を挟みました。
次に,次の見学先である「農家民宿花袋・天王」にワゴン車で向かいました。こちらでは,農家民宿ならではの季節の野菜をいただきながら,宿主の加藤重子さんのお話を伺いました。料理の素材のほとんどが自宅の畑で採れたもので,わさびご飯などに生徒も舌鼓を打っていました。その後,加藤さんに民宿近くの「やくらい山葵(わさび)園」を案内していただきました。「やくらい山葵園」は,民宿近くに湧き水が出ることを加藤さんの旦那さんが県内の建設業者の社長さんに話したところ,その建設会社の出資でコンテナ栽培という方法で生産が始まったものだそうです。山葵田(わさびだ)は遮光してあり,15℃前後の湧き水がためられており,非常に涼しい環境でした。1年半で15cmほどの山葵に成長するそうです。
次に蝉堰を見学しました。蝉堰は鳴瀬川の最狭部に1640年代(江戸時代)に作られた堰で,鳴瀬川の水を60m以上上の水田に上げるための難工事だったそうで,なかなか通水せず,工事責任者の子供を人柱にして成功を祈願したそうです。今回,この堰を研究しているNPO法人「石母田ふる里保全会」の代表渡辺哲さんに手彫りの隧道(トンネル)を案内していただきました。隧道の入り口は崖の下で,個人で行ってわかるような場所ではありません。中は人の背丈ほどの高さで,幅は1m程度という狭さです。暗闇の中をヘルメットをかぶり,ヘッドライトをつけて入りました。中は非常に涼しく,2匹のコウモリにも遭遇しました。人の手で掘られたものとはとても想像できませんでした。現在は内部が崩落しているため,十数年前にできた新しい蝉堰が運用されています。
最後に,上川原頭首工にもどりカヌー体験をしました。晴天が続いていたため,水深は浅かったのですが,初めてのカヌー体験を楽しむことが出来ました。
以上で,3T野菜班の鳴瀬川調査は終了です。ご協力いただいた,ご家族の皆さん,先生方,3回にわたり有意義な経験をすることが出来ました。ありがとうございました。
館山公園をスタート 河川敷の大豆畑と堰
河川敷に広がる長ネギ畑 上川原頭首工でやくらい山をバックに
上川原頭首工で小休止 花袋・天王での昼食
わさび園の見学 蝉堰隧道の入り口
隧道の中 渡辺さんの説明
カヌー体験 集合写真
ありがとうございました